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日本スポークンワーズ協会

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2019年5月19日 NAKED SONGS -Subterranean Meeting 2019- レポート

“ビートジェレーションの詩人たち、そして音楽ライターでミュージシャンの故・下村誠をリスペクトするきっかけではじめた、ミュージシャンによるポエトリーリーディング&弾き語り中心の音楽イベント”それがNAKED SONGS。2年のインターバルから昨年再始動し、今年Subterranean Meeting 2019と副題が付き、装い新たにリスタートとなった。以下、5月19日(日)に高円寺ShowBoatにて開催された当イベントのレポートである。

高円寺ShowBoat。コアな出演者が集うことで有名な25年以上続く老舗のライブハウスだ。筆者(川方祥大)個人的には灰野敬二や友川カズキ等のイメージが強い。

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高円寺ShowBoat入口

会場に入ると、まず目についたのは壁一面に貼られた、ことばが書かれているたくさんの紙。事前に募集した、またはこの日のお客さん等に思い思いのことばを書き、貼っているとのこと。

個人的にははっぴいえんどのはいからはくちの歌詞があったのが非常にぐっと来た。

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開演30分前に着いたが、既に客席は7割程埋まっていた。主催のsami氏に挨拶をし、ステージ後ろのNAKED SONGSの横断幕を眺めながら開演を待つ。開演直前には満席になっていた。

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開演に先立ち、主催sami氏の挨拶

「このイベントは通算十一回目になるんですけど、仕切り直して今回から2nd Seasonの第一回目という考えで始めていきたいと思っています」
「サブタイトルで、Subterranean Meetingとしたのは、出演者だけではなくお客さんもお店の方も共にこのイベントをつくっていく仲間としてやっていきたいという気持ちでつけました」


まず、トップバッターは音楽評論家・ミュージシャンの鳥井賀句。

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ビートジェネレーションを、発生から今までの歴史、ヒッピーとのつながり、代表的な詩人、ミュージシャンとの関わり等を、関係する音源を流しながら解説していく。

個人的に初めて知ることもたくさんあり、非常に実りの多い話であったが、特にRichard HellのBlank Generationkmsg)の元曲が、Bob McFaddenのThe Beat Generationだったのは驚いた。後で調べたら意外と有名だった……(Richard Hell好きなんですよ。あの声がたまんないよね)

トーク後にはギタリストのYoziとのミニライブ。自作曲から、Loo Reed、さらには先月亡くなった遠藤ミチロウのJust Like A Boyなど5曲。Yoziのギターが鋭く曲を支えていた。

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「ミチロウ!天国でも歌ってろよ!」

続いて、活動20年を超えるロックバンド、Beadroads。

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スポークンワードの要素をもつ曲、しっかりと聴かせる芯のある日本語ロック的な曲、バンドの演奏をバックに高村光太郎の「当然事」のリーディング、Jackson BrownのFountain of Sorrowの日本語カバーなど全7曲で会場を沸かせた。

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佐藤亙(Vo,Gt)

「今日は怖い先輩ばっかりだなあと思って(笑)、楽屋でしゅっとしてたんですけど、話してみるとほんとは優しくて(笑)」

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「当然事」をリーディングする佐藤亙

Durmsのコジマカオルの、うたと”ことば”を、そしてバンドサウンドを底からしっかりと支えるドラムプレイ、そしてVo, Gtの佐藤亙のうたと循環しているようなギターサウンド(ギターソロもかっこよかった)がとても印象に残った。

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コジマカオル(Drums)

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若槻昌子(Keyboard)

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ウスイユウキ(Bass)

(……余談だが、Beadroads演奏終了後の転換時にかかっていたSEの、The WhoのMy GenerationからNeil YoungのRockin The Free Worldにつながっていく流れが個人的にぐっときた……)

そして、お待ちかねのThe Subterraneans。ポエトリーリーディングのSEでメンバーが入場。

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それぞれが演奏開始前に拳を合わせあっている姿が異常にかっこいい

ギターとベースのハウリングが重なり合う中、最初の曲が始まるともう出だしからロックンロール全開で、全身の血が逆流しそうになった。

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それからThe Velvel Undergroundの(というかLou Reedのといったほうがいいか)Sweet Jane、のほとんど意訳の日本語詩、Rolling StonesのSympathy For The Devilにオリジナル日本語詩をつけたものと続き、ぐるっとしたグルーヴのオリジナルで畳みかける。

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黒水伸一
「有名な某ロックンロールライターの知り合いにこの前会ったとき、The Subterraneansはバンドのフロントマンが3人いるから、エゴがぶつかって絶対うまくいかない。一年くらいで解散するよって言われたんだけどね。確かイニシャルが……G.Kっていう人。意地でも一年で解散しちゃいけないなって」

CROSS
「さっき楽屋でもさんざん言われたよね。お前ら絶対解散するって(笑)」


そして前回のNaked Songsの時に読んだ詩「若さという幻」を歌う篠原太郎。

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「今回はこれをやっぱり曲にしたいなと思い、こねくり回して曲になったんですけど、二人に、ここはポップスの王道でもういいよ、とかいろいろ言われながら、うん、そうですね、確かにその通り、という……ちゃんと人の意見を聞き分ける耳を持った男として……完成しました」

(会場笑い)

「そこで笑うってことは、普段よっぽど俺が人の言うこときいてないみたいじゃん、それ(笑)」

(会場から「その通り!」)

その後、ジャズとR&Bの香りが漂う、艶やかなリーディングも混ざった曲で空気が変わり、まるでMuddy Watersのような粘りのあるブルースで会場の熱をさらに上げていくのにはちょっと感動してしまった。

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さらに数曲、さらにことばの深度があるオリジナルが続き、会場のテンションは最高潮に。

そして、鳥井賀句とBeadroadsの佐藤亙もステージに上がり、ブルース的なジャムからのBob DylanのKnockin' on Heaven's Door。各人が奏でるサウンドが会場全体を巻き込んでいった。

これでエンディング……ではなく当然だがアンコールが巻き起こり、The Subterraneansの面々がステージに再登場する。

そして始まったのは、Naked Songsのテーマソングである「Beat Goes On」。ビートの効いたリズムにたしかなことばがしっかりと乗っていくRock & Rollにしびれながら、気が付くとライブは終了。全10曲以上を全体のバランスから強弱をつけつつも、テンションを落とさずに走り抜けたThe Subterraneansは本物のRock & Rollだった。

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左から、篠原太郎(Vo,Bass)、黒水伸一(Vo,Gt)、久保田敏明(Drums)、CROSS(Vo,Gt)

終演後、ぼうっとしながら前述の壁一面のことばたちを眺めていると、まさにビートジェネレーションの時代を現代へ、そしてこれからの世界につなぐライヴイベントであったんだなあ、と感じた。

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以下、終演後に収録した出演者のショートインタビューより抜粋。

鳥井賀句
「元々大学でランボーとか、まあ詩・現代詩を学んでた人間なんで、自分も昔から詩・メッセージを重要視してきたんですよ。なので、ロックの持っていることばに焦点を当てていくこういうイベントはすごいいいと思いますよ」

「高円寺で昔やってたロックバーにまだ大学生だった佐野元春が来ていて、丁度パティ・スミスのライブをニューヨークを観にいくんだけどって話をしたら、ビートジェネレーションの詩集買ってきてくれませんかって。なんでまとめて10冊くらい買ってきてプレゼントしたんだよ。で、それから数年後にバーンってデビューして、あーっ、あいつだ!って(笑)」


佐藤亙(Beadroads)
「以前ライブを観てくれた主催のsamiさんが、いいバンドでことばも大事にしてるから呼びたいんだけどと話をしてくれて、こちらも面白そうだなと思って、今回出ました」

「今まで自分たちのワンマンライブとかで詩の朗読をやってみる、というコーナーを設けたことはありました。その時やってみたら面白いなあってなったんですよ」

「すごいコンセプチュアルで、やりたいことがしっかりきまってるイベントだし、でもそれに合わせるというより、枠の中でなんとかギリギリ自分のやれることしかできないなと思ったので、そんなに構えず、いつも通りにやりました」


<The Subterraneans>
黒水伸一
「Naked Songs、あたらしい章ということですけど、自分たちはずっとライブやってるからね。いつも通りだね」

「それぞれがメインのバンドのソングライターやってるからね、それで互いにこういう形で関われていい刺激になるし、自分のほうにいいフィードバックがありますよ」

篠原太郎
「あたらしい章……何にも考えてませんでした。The Subterraneansとしては前回が初回だったので、続きで、いいと思ったことをやりました」

CROSS
「まだまだこれからですね。ほんとはじまったばっかりだし」

主催・sami(若松政美)
「今回からシーズン2ということですけど、去年(2018年)、10回目【前編】をやった時にビートに所縁のある 書店 「フライングブックス」でやって、本当はそれで一区切りで最終回かなと思ってたんです。それで、イベントのレギュラーメンバーの 篠原、CROSS、そして、黒水さんに 声をかけて、やってみたらすごく面白くなって」

「でも、代々木アルティカ7での10回目【後編】終了後に皆で話をしていたら、すごい盛り上がって、バンドで継続してやりたいから、やろうよという話になって、CROSSがその場で ここ(ShowBoat)を仮押さえして、「NAKED 〜」でやろうということになり、 でも自分の中では一区切りついてるから、じゃ、シーズン2にしようと思いたった」

「音楽と言葉を体感するテーマで、ちょっと変わったことをしようと思いつき、今回は壁に言葉や歌詞を貼ったりして、イベント全体をひとつの総合的なアート、インスタレーションのようなイメージで出来たらなと考えました。次回もどんな形になるかわからないですけど、違ったアプローチで何かしようかなと思ってますね」


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さて、以上でレポートとしては終わりになるが、なんとThe Subterraneans、Naked Songsから飛び出し、次回は11/30(土)に代々木のZher the ZOO YOYOGIにてBEAT!POET!RAMPAGE!というライブを開催するとのこと!一方、Naked Songsも年1回のペースで続いていくとのこと。

今後が非常に楽しみだ。

(文責・川方祥大)

 イベントレポート

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